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“別役実メモリアル第1弾”で自粛明け 下北沢小劇場始動 (1/2ページ)

 4日に下北沢ザ・スズナリで初日を迎えた燐光群公演「天神さまのほそみち」は、3月3日に死去した別役実さんの劇作だ。“別役実メモリアル第1弾”と銘打たれているが、演出の坂手洋二氏によれば、公演決定は別役さんの逝去前だったという。19日まで上演。

 劇作家であると同時に作詞や童話作家である別役さんは、劇団を主宰し演出をする劇作家に比べて地味だったかもしれない。

 だが、その仕事は144本の戯曲や、アニメ「銀河鉄道の夜」や「戒厳令」などの映画脚本だけでなく、日本劇作家協会の創立に尽力し会長を務め、新人の登竜門である岸田國士戯曲賞の選考に長く関わることで、つかこうへい、野田秀樹、平田オリザ、ケラリーノ・サンドロヴィッチといった才能ある新人を強く推してきた。

 ある年、野田秀樹を推したのは別役さんひとりだった。「野田に受賞させるな」という大御所との9時間のバトルの末、その年はかなわなかったものの、翌年、野田秀樹は受賞し、今の活躍に至っている。

 「天神さまのほそみち」で女2を演じる円城寺あやは、別役さんが孤軍奮闘して若者、野田秀樹を推した当時の「夢の遊眠社」のヒロイン。異質に見えながら、いくつもの共通点を持つ2人の世界を見事に演じていた。若き日に舞台を走っていた円城寺は、「天神さまのほそみち」では、浴衣姿で童謡を口ずさみ、不条理の別役世界に観客を誘い込む。

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