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【生誕100年 世界のミフネ伝説】「椿三十郎」 ラストの瞬殺シーンは自身で演出 (1/2ページ)

 ヒットとなった「用心棒」の後編ともいえる作品だが、ゴーサインが出るまでには紆余曲折があった。シナリオは最初、山本周五郎の「日々平安」をもとに黒澤明監督が書いた。気が弱くて剣術もろくにできない男が主人公だった。だが東宝からダメ出しが出てお蔵入りの危機に。ところが「用心棒」のヒットで、シナリオが大幅に書き換えられ、強い侍を主人公にすえた。これで日の目を見たというわけ。

 真夜中の廃屋。次席家老の黒藤(志村喬)が汚職で私腹を肥やしていると知った若い侍たちが告発の密議を交わしている。リーダー格の井坂(加山雄三)によれば、城代家老の睦田(伊藤雄之助)に意見書を提出したが破り捨てられたと明かす。ただ大目付(清水将夫)が意見を汲んでくれたというので一同は安堵する。と、そこへ奥から浪人(三船敏郎)がしゃしゃり出て、大目付こそが黒幕だというのだ。

 今作で黒澤監督が使った手法はたくさんあった。例えば立ち回りで肉が切れる音や血がドバっと噴き出るシーン。GHQから禁止されていたが、それが解けたのでよりリアルさを追求したがエスカレートしてしまった。ところがこれをまねた映画が続々登場。欧米ではヘモグロビンの噴射と皮肉を新聞に書かれた。これには監督自身も「俺が流行させてしまったんだ」と反省しきり。

 ラストでも室戸半兵衛(仲代達矢)と三十郎の決闘シーンがあるが、瞬時に三船が仲代を切り倒している。フィルムを見たら三船の刀が映っていない。「あまりに早すぎて映らなかったんだ。殺陣のオリンピックがあったら間違いなく三船が金メダルだな」と黒澤。切られてポンプから血が噴き出る仕組みが、出過ぎてNGになりスタッフ一同大爆笑だったとか。この瞬殺シーンは三船自身が演出したという。

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