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【アジアの潮流 ハリウッド超えに挑む】合作スタイル多様化、日本人監督のアジアでの挑戦

 アジア映画の合作スタイルが多様化しつつある。日本人監督が海外へ招かれ、映画を撮るというケースは珍しくないが、日本人監督が海外を舞台に現地の俳優、スタッフで撮った秀作が、大阪アジアン映画祭(3月開催)をにぎわした。

 今年6月に日本公開される『燕 Yan』はほぼ全編、台湾・高雄で撮影された。今村圭佑監督は今年の日本アカデミー賞で最優秀作品賞などを独占した『新聞記者』の撮影監督。人気ミュージシャン、米津玄師のヒット曲『Lemon』のミュージックビデオの撮影監督なども務めた注目の映像クリエーターが、映画監督としてデビューした。

 日本で暮らす早川燕(水間ロン)は、父から「台湾にいるお前の兄に会ってきてほしい」と頼まれる。台湾人の母(一青窈)は燕が幼い頃、兄を連れて台湾へ帰国していた。燕は台湾へ行き、兄を捜すが…。

 テーマは移民問題など複雑化する国際化社会。中国・大連生まれ。燕と同様、中国人の母に日本で育てられた水間が主演に抜擢された。

 「日本と中国。2つの祖国を持つ水間さんの経験が脚本に生かされ、ロケ地選定でも一緒に台湾を回り、助けてもらった。台湾の俳優、スタッフと撮る経験は自信につながった」と今村監督。

 もう1作。『白骨街道』は、ミャンマーを拠点に現地のテレビ局の番組などを制作している藤元明緒監督の短編映画だ。

 第二次世界大戦下、インパール作戦で命を落とした日本兵の遺骨を発掘する現地の人の姿を描く。

 「日本とミャンマーを戦中から現在も強く結び付けているのが白骨街道と呼ばれる激戦地。ミャンマーで暮らすことで撮影できた1本」と語る藤元監督の妻はミャンマー人だ。「今後も両国を拠点に映画を撮るつもり」と話す。新時代に現れた国際派監督たちがアジア映画の未来を変え始めている。 (おわり、波多野康雅) 【次週は「生誕100年 女優原節子伝説」です】

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