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通説が覆された本能寺の変 『麒麟がくる』はどう描くのか (2/2ページ)

 黒幕としては朝廷や追放された15代将軍足利義昭、共謀者としては徳川家康や上杉景勝などの名が挙げられている。が、どれも状況証拠しかないため、以前の大河ドラマでは採用されるには至らなかった。

 しかし、近世国家成立史を専門とする藤田達生(三重大学教授)が1996年に論文「織田政権から豊臣政権へ-本能寺の変の歴史的背景-」を発表し、2001年にそれを膨らませた『本能寺の変の群像-中世と近世の相克』(雄山閣出版)を世に出すと、さらに新たな説が登場した。

 藤田は当時の書状を根拠に、黒幕は足利義昭で、光秀が謀反に踏み切った直接のきっかけは信長の対四国政策の変更にあり、上杉景勝や本願寺、雑賀衆、筒井順慶とも裏で手を結んでいたとする説を唱えた。それ以降、政治的な理由による計画的犯行との見方がにわかに強まることとなった。

 確かに、数々の書状を見る限り、個人的な理由や突発的な行動でないのは明らか。今年の大河ドラマ『麒麟がくる』が藤田説に従うとすれば、本能寺の変前夜の密使のやり取りが入念に描かれることになるだろう。脚本家や製作スタッフがどの説を採用するのか注目したい。

 【プロフィール】しまざき・すすむ/1963年、東京生まれ。歴史作家。立教大学文学部史学科卒。旅行代理店勤務、歴史雑誌の編集を経て現在は作家として活動している。著書に『ざんねんな日本史』(小学館新書)、『いっきにわかる! 世界史のミカタ』(辰巳出版)、『いっきに読める史記』(PHPエディターズ・グループ)など著書多数。最新刊に『ここが一番おもしろい! 三国志 謎の収集』(青春出版社)がある。

NEWSポストセブン

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