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【巨匠・森谷司郎が描く 日本の光と影】大映・永田社長が勇み足…映画化権は「トンビに油揚げ」的に東宝へ 「日本沈没」 (1/2ページ)

 いわずと知れた小松左京のベストセラーSF小説が原作の「日本沈没」(1973年)。この小説のおかげで、プレート・テクトニクス理論が広く知られるようになった。

 原作は昭和39年から執筆を始めて完成まで9年かかった。当時は高度経済成長が終わりを迎え、狂乱物価のインフレに加えオイルショックが襲ったことから終末論が横行していた。アンチテーゼとして警鐘の意味も含めて空前の大ヒットとなったもののようだ。

 197X年、小笠原諸島の小島が突然消えた。地球物理学者、田所雄介博士(小林桂樹)が現地で海底に亀裂を発見。地震や噴火が続き天変地異を確信する。政府は極秘で全国民の国外脱出の計画を作り、総理が国会で発表する中、現実に四国が沈没し、北関東では火山の爆発や地震が連続して起きた-。

 すごいところは科学の先取りをしているところだ。執筆当時は完成していなかった成田国際空港や青函トンネル、関西国際空港など未来を予測したものがたくさん登場する。リニアモーターカーもそのひとつだ。

 映画化にもゴタゴタがあった。大映が「東京大地震」をテーマにした映画を企画したところ、小松左京がよく似た内容の小説を執筆中と知り交渉を開始。ところが社長の永田雅一があろうことか独断で製作を発表してしまった。このため交渉は棚上げになり、東宝が「トンビに油揚げ」的に映画化権を取得した。

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