記事詳細

【みうらじゅん いやら収集】混浴温泉に巨乳の女性…オヤジ達に流れる“緊迫の5分間”

 今回、紹介する写真はいわゆる“冷マ”と呼ばれる冷蔵庫などにくっつけるマグネットのグッズであるが、よーく見るとこの温泉が混浴だということが分かる。

 何せ小さな写真だし、その上、人は歳を取ると性別を無くす者だっているからハッキリ確認は出来ないと思うが、ここは青森県の酸ヶ湯。遠方からもたくさんの入場客が訪れる有名な混浴温泉である。

 若い頃は自宅の風呂に入るのも億劫だった僕も、老いるショックの一環なのか、やたら温泉にこだわり旅をするようになった。

 何度か混浴にも入ったが、大概は男性客ばかりで逆にホッとしてたくらい。しかし、ここは違った。小学生の頃から近眼で、さらに乱視、40代中盤辺りから老眼もトッピングした眼鏡を常時かけなきゃ、特に温泉などは危険極まりない。湯気で曇りに曇ったレンズを湯に浸し、ようやく風呂場の全容が見えてきたところに1人の女性が、タオルで胸と股間を隠し入ってきたではないか。

 しかも、大層、巨乳であることはタオルの上からでも分かる。歳の頃は30代半ば(と、みた)女性である。僕は半身浴をしていたのだが、思わず湯の中に身体を沈めた。幸いなことに湯は白濁しており、たとえその姿に興奮してしまってもまわりからは気付かれない。

 その女性は男客から少し離れたところで入浴したのだが、その騒つきは温泉内に広がった。身体を洗ってた者まで慌てて入浴しに来る始末である。確か脱衣場には“他人をじろじろ見るなかれ”的な注意書きが貼ってあった。それは混浴の礼儀である。オヤジ達は何気に天井などを見上げたりしてるのだが。時間にして5分程度であったろうか、女性は風呂場から出た。

 こんな緊迫した現場は初めてだったし、しばらくその女性のことが頭から離れなかった。でも、僕は今でもあれは温泉側の粋な演出だったんじゃないかと疑っているのだがどうだろう?

 ■みうら・じゅん 1958年2月、京都市生まれ。イラストレーター、漫画家。エッセイストとしても知られ、97年に「マイブーム」で新語・流行語大賞を受賞した。近著に『ラブノーマル白書』(文春文庫)、『みうらじゅんの松本清張ファンブック「清張地獄八景」』(文芸春秋)など。webサービス「note」でいとうせいこう氏との自主ラジオ『ご歓談』を配信中。

関連ニュース