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【桂春蝶の蝶々発止。】「人はみな、剣が峰を歩く、道危うき旅人なのかもしれない」 映画「ジョーカー」を見て考えた (2/2ページ)

 確かに、犯罪だが、もはや死ぬというとき、私でもパンを盗んでしまうと思うのです。彼の場合、人からの愛に飢えていました。誰からも愛されなかったことによる凶行…。それは許されないし、誰も憧れない。しかし、理不尽な「抑制」を社会から受けている人なら、ジョーカーの爆発に「カタルシス」を得てしまうのも事実。

 極貧で空腹で寒い…明日の希望がまったくない状態で「大丈夫、死ぬ気になったら何でもできるってー」とヘラヘラ言ってくるアホに、「何にもできひんから、死にたなってまうんやないかーっ!」と、拳銃でハチの巣にしたのち、化粧し、バレエを踊り、笑ってる映画が「ジョーカー」だと思ってください。

 最後に私は…人がジョーカーにならないようにするコツは、この映画を見て、「あ、自分の中にもジョーカーがいてるな」と素直に認めることやと思いました(笑)。

 ■桂春蝶(かつら・しゅんちょう) 1975年、大阪府生まれ。父、二代目桂春蝶の死をきっかけに、落語家になることを決意。94年、三代目桂春団治に入門。2009年「三代目桂春蝶」襲名。明るく華のある芸風で人気。人情噺(ばなし)の古典から、新作までこなす。14年、大阪市の「咲くやこの花賞」受賞。

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