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【中本裕己 エンタなう】大学生4人が12億円希少本を強盗未遂…実話に基づく映画が問いかけるもの 映画「アメリカン・アニマルズ」

 米ケンタッキー州で、2004年に4人の大学生が時価1200万ドル(約12億円)の希少本を大学図書館から盗み出そうとした強盗未遂事件の実話に基づく映画「アメリカン・アニマルズ」(公開中)。ノンフィクションとドキュメンタリーが、ないまぜの異様なリアリティーで迫る。

 4人の学生は『レザボア・ドッグス』や『オーシャンズ11』といった犯罪映画を参考に盗難作戦を練るのだが、当然ながら現実は大違い。ポンコツなバカっぷりを露呈して笑いを誘う。その一方で、普通の学生が犯罪者となっていく過程がグラデーションのように分かる内面の描写が秀逸。

 映画は、役者が演じる物語部分をメーンとしながら、服役を終えた本物の4人が当時の心境を振り返る場面が効果的に挿入される。芸術家を夢見る主人公は、ゴッホなど時代を成した人物の悲しい経験や、破天荒な体験に憧れていた。自分は「特別な何か」をすれば殻を破れるような気がして、ぶっ飛んだ大泥棒を思いつく。彼らの行為は図書館司書を傷つけるなど悪ノリを超えた重大な犯罪なのだが、イタズラ動画を配信して騒動を起こす今の風潮にも通じる。

 来日中のバート・レイトン監督が観客の質疑に応じるイベントに居合わせた。「自分もアイデンティティーに迷いがあり、映画に影響されそうだ」と冗談交じりに質問する高校生に、監督は「ポジティブなことであっても、刺激はたくさんある」と優しく諭したのが印象深かった。(中本裕己)

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