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【玉袋筋太郎 玉ちゃんの酔滸伝】なべおさみ「覚悟」の1冊にしびれた! “清濁”を隠さない昭和の興行史 (1/2ページ)

 先日、私の自宅に1冊の本が届きました。しかも著者ご本人が届けてくださったのです。本のタイトルは『昭和疾風録~興行と芸能』。これが一度読みだしたらページをめくる手が止まりません。

 この本の著者は、なべおさみです。生まれながらの突貫精神で芸能界に飛び込んで、無我夢中で成功をつかみましたが、私の兄弟弟子である息子の裏口入学事件で芸能活動はストップしました。

 怒られることを承知で書きますが、なべのその後は絵に描いたような冷や飯の芸能人生です。しかし本書は、その人生の暗く深い滝壺で臥竜と化したなべが、昭和芸能興行に携わった人間たちを後世に伝えるべく記した、渾身の書なのです。

 日本の公共放送が放送しているのは「映像の世紀」ですが、本書はそれを超えた「興行と芸能の世紀」といってもいいでしょう。「人間が求める本当の公共とは何か?」を、膨大な資料と著者の見聞したことも含めて書かれています。触りですが、本書には力道山に美空ひばりといった昭和を飾ったスーパースターたちが登場します(登場するスターを挙げたら、ここの文字数では足りません)。

 しかし、たとえスーパースターでも決して一人の力だけでスターに上り詰めたわけではないのです。2人を温かい気持ちで支えた神戸芸能社のボスで山口組三代目・田岡一雄、日本一の興行師の永田貞雄。ここまでは昭和芸能界を語る上で外せない人物であると私も知っておりましたが、本書には第三の男が登場します。九州の興行界で「親分」とまで呼ばれた古池慶輔です。親分と呼ばれても決して任侠(にんきょう)道の方ではなく堅気な興行師です。私が大好きな、これまで語られてきた昭和芸能史が大きく肉付けされました。

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