記事詳細

【中本裕己 エンタなう】映画「マスカレード・ホテル」 重厚なワルツに隠された客の“他人の顔” もうひとつの謎解きも

 東野圭吾原作のミステリー映画「マスカレード・ホテル」が配給側の予想を超えたヒットを続けている。都会のホテルを舞台にした“殺人犯捜し”は、目移りするほど豪華絢爛なキャストが楽しい。

 主演はモノマネのネタにされがちな木村拓哉だが、今回は抑制の効いた地味めの所作。目線の変化を駆使して“ホテルのフロントマンに扮した潜入刑事”という二重の芝居を好演する。その教育係としてタッグを組まされるホテル側の若手社員に長澤まさみ。きつめの口調に、ぴっちりした制服がよく似合いハマリ役を得た。

 クレーマーの客さえ、まずは肯定してもてなすホテル従業員と、市民を守るため、すべての客をハナから疑う刑事。職業柄ぶつかりあう2人をよそに、多彩な登場人物は、さまざまな仕掛けをちりばめてゆく。

 印象深いのは、終始流れる佐藤直紀による重厚なワルツ。

 すぐオマージュとして浮かぶのは、フィギュアスケートでもよく使われるハチャトリアンの組曲「仮面舞踏会」。もうひとつは、安部公房原作の映画「他人の顔」のために巨匠・武満徹が書き下ろしたワルツ。どちらも謎めいた哀しみを内包した名曲。この先人の2曲に華やかさを加えた風情のサントラには、ワケアリ客の「仮面」や「他人の顔」が投影されているように感じた。

 「友情出演・明石家さんま」のエンドロールで見落としていたことに気づく。どのシーンか。もうひとつの謎解きも。(中本裕己)

関連ニュース