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【シネマパラダイス】ナチスの悪夢的史実と現代の難民問題を重ね描いた 「未来を乗り換えた男」

 祖国から逃れてきた元レジスタンスの男の逃避行を、ナチスの悪夢的史実と現代の難民問題を重ね、スリリングに描き出す。監督は「東ベルリンから来た女」のクリスティアン・ペッツォルト。1時間52分。12日公開。

 ドイツ人青年のゲオルグ(フランツ・ロゴフスキ)は、ファシズムが吹き荒れる祖国を逃れてくる。だがパリも独軍占領間近。ゲオルグは偶然、自ら命を絶った亡命作家を発見し、彼の荷物を抱えたままマルセイユへ逃れる。その中にメキシコへの招待状を発見した彼は、作家になりすまし出国しようと試みる。

 【ホンネ】舞台は現代ながらナチスの悪夢をまんま思わせる異色の設定に驚きつつ、それゆえファンタジー的でもある、漂う浮遊感にノセられ一気見、必至。逃避行男の前に何度も現れる“黒いコートの女”とのミステリアスな展開にも心奪われ、鋭く胸を刺される。(映画評論家・折田千鶴子)★★★★

 ★5つで満点

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