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【桂春蝶の蝶々発止。】至高のドキュメントに身が震え…樹木希林さんとプロフェッショナル (1/2ページ)

 プロフェッショナルとは、どういう人のことをいうのでしょうか?

 私は、徹底した俯瞰(ふかん)視と、確かな客観性を持ちながら、「仕事として成立させる」人たちのことをいうと思っています。

 先月亡くなった女優、樹木希林さん(享年75)の晩年を追い続けたNHKスペシャル「“樹木希林”を生きる」を見ました。

 がんに侵された体で2017年から4本の映画を撮影した希林さんを、1人のディレクターが取材したものです。撮影の合間や現場への移動中、彼女へさまざまな質問を投げかけます。

 「役の努力っていうより、生きていく努力はあるかもしれない」

 ボソッと語る希林節には重みがあり、仕事への「念」が漂い、画面にくぎ付けになりました。

 印象的だったのは、カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した映画『万引き家族』の顔合わせで、是枝裕和監督に対し、「こういう(=本当の家族でない)人たちが家にずるずる入ってきちゃって、『まぁいいか』にならないんじゃないですか?」と疑問を投げかけるシーンです。少しでも違和感があれば議論をする。

 是枝監督も、希林さんに全幅の信頼を寄せているので「脚本を考え直します」と答える。その後、希林さん演じた老女には、夫から捨てられた過去があったという設定が加筆され、物語をより深めるに至ったのです。

 「より良い仕事の成立がすべて」

 その目には、絶対的な信念を感じました。

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