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【高須基仁 人たらしの極意】“参考文献”未記載も… 作家・北条裕子の“想像力”に脱帽 凡人の妬みで新人の芽を摘むな! (1/2ページ)

 作家、北条裕子が東日本大震災をテーマに書いた芥川賞候補作「美しい顔」を、文芸誌「群像」に掲載した際、参考文献を記載しなかったことが問題になっている。

 彼女は、「物書きとしての未熟さゆえに、関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけしてしまったことを、改めて深くおわび申し上げます」と謝罪をしている。

 私に言わせれば、小説とは“真っ赤なウソ”を書くことだ。彼女が一度たりとも被災地を訪ねていないことが揶揄されてもいるが、全く問題はないと思っている。

 確かに、震災に関する既存の書籍との類似に彼女は、「想像の力でもって被災地の嘘になるようなことを書いてはいけないと考えました」とも釈明した。

 だれも彼女の味方をしないので、私が言うが、凡人の妬(そね)みで前途多望な新人の芽を摘んではならない。

 ふと思い出したのが、ノーベル文学賞作家が故郷に帰って珍騒動を巻き起こす映画「笑う故郷」(2016年)である。昨年秋、東京・岩波ホールで公開され、この春DVD化された話題作だ。

 主人公は、スペインで活躍するアルゼンチン人の作家。ノーベル文学賞を受賞した後、5年間も新作を発表せず引きこもっていたが、故郷の田舎町から「名誉市民の称号を贈りたい」という手紙を受け取って帰省する。

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