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【桂春蝶の蝶々発止。】「型破り」な月亭可朝師匠、実はとてもストイック 鬼気迫る怪談「市川堤」、舞台後に怒り出したワケは… (1/2ページ)

 上方落語界の大御所、月亭可朝師匠が先月末、亡くなられました。80歳でした。私にとって可朝師匠は「憧れ」そのものです。型を知り尽くしているのに、その型を見せようとしない。文字通り「型破り」な噺家さんでした。

 エピソードはいくつもあります。参院選に立候補した際、公約が「大阪に一夫多妻制を復活させる」「銭湯における男湯と女湯の壁を撤廃する」…。噂によると、おかみさんすら師匠に投票しなかったとか(笑)。

 野球賭博で捕まったときも、可朝師匠は「何で博打(ばくち)があきまへんねん?」と聞く。刑事さんが「そら、あんた。暴力団の資金になるからや」。すると師匠、「せやけど刑事さん、わたいは暴力団から勝ちましてんで。こら逆に、表彰されなあかん理屈とちゃいまっか?」…。

 これには警察も苦笑いしたという伝説です。

 新聞の訃報欄に「『嘆きのボイン』で一斉を風靡(ふうび)」と書かれていましたが、私にとったら、月亭可朝という師匠は「とてもストイックに落語と向き合う人」という印象が強いんです。

 何より間が美しく、リズムが的確、声がいい。

 天満天神繁昌亭(大阪・天神橋)の舞台で、たっぷり45分、怪談「市川堤」を舞台袖から見せていただきました。鬼気迫る高座を拝見できたことは、今でも私の宝物です。まず相当な稽古量を積んでないと、あんな舞台はできないですよ。

 可朝師匠は見た目がインパクトある人。だが、物語が進むにつれて「落語家・可朝」が消えて、登場人物のみが高座に浮かび上がってくる。これは文楽における「超一流の人形遣いは、人が消えて人形だけしか見えなくなってしまう」事と同じだと感じました。

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