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【ぴいぷる】作家・池澤夏樹氏、作品ルーツは乗り物好き 「趣味は?と問われると…」 (1/3ページ)

 『のりものづくし』(中公文庫)なるエッセー集を文庫オリジナルで上梓した。旅する作家は1984年のデビュー以来、多くの小説、エッセー集を発表してきた。一部の読者が持つ“乗り物好き”の嗅覚は「同好の士」なる共感をかぎ取っていたが、ついに待望の一冊が登場した。

 「この本の中心となるのは以前に連載していたエッセーです。それを放置していたんだけど、読み返してみると結構いいぞと思って、それを編集さんに押し付けたの」といたずらっぽく笑う。

 「他の書物や雑誌、僕は整理が悪くてね。さてこの原稿は何に載せたんだっけというのをきちんと調べていただいたんです」。押し付けられた(?)女性編集者は懸命に連載、メディアに書いた作品を集め、その結実でもあるわけだ。

 これまでの著作にも多くの乗り物が登場した。『南の島のティオ』『マシアス・ギリの失脚』には架空の航空会社が登場、作家デビューの頃は航空冒険小説の執筆準備をしたこともあった。

 のちに書いた『切符をなくして』は東京駅が舞台。『アトミック・ボックス』は主人公が逃亡するが、駅や利用する乗り物はすべてその時代の時刻表を克明に調べ上げた。

 長編小説の『氷山の南』は、端的に言えば巨大な氷山を船で引っ張るという話。大きなタグボートや研究船からカヤック、ソリなど19種類の乗り物が登場する。『双頭の船』は、東日本大震災の犠牲者の鎮魂のために描かれたが、瀬戸内航路で島渡りのフェリーが“成長”するというマジックリアリズムの手法を取り入れた異色の作品だ。

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