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【中本裕己 エンタなう】ガイコツに魂を入れたピクサーの見事なアニメ映画「リメンバー・ミー」

 花粉症で目が真っ赤。それがこの映画に限っては、かえってよかった。アニメを見て涙腺崩壊した中年男の言い訳になる。それくらい映画「リメンバー・ミー」(公開中)は良いです。

 舞台はメキシコ。曾祖母が始めた靴職人の大家族のもと、何不自由なく育った天真爛漫な少年ミゲル。ただひとつの悩みは、一家から音楽を禁じられていることだった。それでもギターの音色を聴くと歌手になる夢を抑えられない。

 ある日、ミゲルは日本で言えばお盆のような「死者の日」に、ガイコツだらけの「死者の国」に迷い込む…。なぜ、一家が音楽を禁じたのか。そのナゾが解けるとともに、ミゲルは死者と生者の間の重要なメッセンジャーとして家族の絆をつなぎとめることなる。

 冒険譚のようなドキドキする展開の先にあるラストとテーマソングが胸に迫る巧みな脚本だ。全編陽気なラテン気質で人も音楽も色彩も明るい。それがかえって哀しさを浮き上がらせる。「トイ・ストーリー」シリーズでおもちゃに魂を入れたピクサーの映像チームは、本作でガイコツに魂を入れた。最も表情をつけるのが難しい題材なのに、生前の顔写真をほうふつさせるガイコツたちの映像に舌をまく。

 私は、それほど熱心なアニメファンではない。むしろ、どんどん実写に近づいていく技術に何の意味があるのか、と思った時期もあったが、それは大間違いであった。アニメだから実現できるこんな世界観を見られるありがたさを感じている。 (中本裕己)

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