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【酒井政利 時代のサカイ目】「日常の哀感」失ってしまった紅白歌合戦 桑田佳祐、郷ひろみらの圧巻パフォーマンスに救われた (1/2ページ)

 年々、難破船ぶりが聞こえてくる「NHK紅白歌合戦」。

 多くの人たちが出演を熱望した安室奈美恵と桑田佳祐も出演が決まり、さすが国民的番組だと驚かされた。

 番組が始まると、この数年に比べれば、スタッフが相当工夫したかのように思えたのがグランドオープニング。まるで映画『ラ・ラ・ランド』を彷彿させるような、渋谷を舞台にした映像での幕開けに、わくわく感のある新しい紅白歌合戦を予感させた。

 ところがその勢いに乗れず前半終了。グランドオープニングの流れの中に、どうして欅坂46、乃木坂46、AKB48など今の時代の象徴を押し出さなかったのか。グループの女子力を見せていれば、紅白離れが激しいと言われる若い世代も息をのんだはずだ。彼女たちの破壊力の大きさを把握できていなかったのが残念でならない。

 今回のテーマは『夢を歌おう』。テーマを意識しすぎた運びがマイナスになったのが三山ひろし。視聴者はけん玉のギネス挑戦ばかりに気持ちが行き、歌に集中できず、歌好きには不満が残った。

 あれほどカラオケ文化に貢献している石川さゆりの『津軽海峡・冬景色』も然り。新しい編曲だと強調していたが、手作り木作りの名曲をキラキラのプラスチックに変えてしまい、歌の生命である日常の哀感を削ぎ落としてしまっていた。

 歌はことばとことばを繋ぐ音符が奏でるもの。過剰な作りはその情感を無にしてしまう。

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