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【没後20年 藤沢周平ドラマ秘録】今宵の玄次郎は「若さとキレッキレの殺陣」 謎解き面白さで人気の『神谷玄次郎捕物控』 (1/2ページ)

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 藤沢周平作品の中でも謎解きの面白さで人気の高いシリーズ。近年ではNHKBS時代劇で高橋光臣が主演している。

 北町奉行所で一番のぐうたらと評判の神谷玄次郎(高橋)は、実は剣の腕と推理力抜群の定町廻り同心。手柄や出世には興味はないが、弱い者いじめの悪には体当たりでやっつける気骨も持つ。ろうそく問屋の娘が誘拐された事件では斧をふるう大男と対決。やっと幸せをつかんだ天涯孤独の娘が殺された事件では凶賊を追い詰める。なかなかにカッコいいのだ。

 独身気ままの玄次郎は子連れの美人、お津世(中越典子)という恋人が営む料理屋に入り浸る日々。おかげで上司(小野武彦)からはにらまれ、帰宅しても身の回りの世話をするお婆のおさく(岸本加世子)がすかさず駆け寄り、鼻を鳴らして「女だね」。やるねー。おさくは玄次郎以上に推理力がありそうだ。

 玄次郎は、上司から「手切れ金を用立てるから女と別れろ」と言われ、「女でなく、婆さんと別れたい」と言いつつ、「今日は泊まって」とお津世にせがまれても「婆さんがうるさいから帰る」ことも多い。14年前に母と妹を何者かに斬殺された玄次郎は、亡父に頼まれ、せっせと彼の世話を焼くおさくの気持ちがわかるのだ。口は悪いが心優しい。玄次郎はモテるわけだ。つらい過去が抱えた主人公の苦悩も藤沢が描く人間像らしい。若き主役を助ける岡っ引きの銀蔵役の中村梅雀が、ドラマを引き締めているのも見どころだ。

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