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増えるストレス、見えた希望-コロナショックを機に、働き手の“反乱”が始まる? (4/4ページ)

 そのとき、職場側がこれまでの価値観を引きずったまま抑圧的になれば、働き手の不満は増幅し、抑圧された感情は周囲へと広がり、明確なビジョンを持った人材から抜けていくことで、組織の活力も生産性も低下してしまう懸念があります。逆に、個々の希望がかないやすくなる方向に職場環境を転換することができれば、働き手は自発的に今の職場を再選択し、さらに高いコミットメントを携えて力を発揮してくれることが期待されます。

 生産年齢人口が減少の一途をたどる中、働き手に選ばれる職場と選ばれない職場との間には、数年後、致命的な差が生じてしまうように思います。

 ◆負の遺産をのこさないために

 もちろん、在宅勤務や時差出勤を経験した人の中には、うまく仕事環境が整わずにかえって苦労した人もいるはずです。しかし、それは果たして在宅勤務や時差出勤自体に問題があるのか、あるいは仕事環境における業務設計に問題があるのか検証する必要があります。

 もし社会が個々の働き手の希望を尊重し、最適な職場環境を選択できる方向へとシフトすれば、働き手は日々の生活の中で豊かさと幸せを今より高い水準で享受できるようになるはずです。

 最適な職場環境とは、在宅勤務や時差出勤だけに限りません。中には明らかに在宅勤務が難しい職種もあります。しかし、それぞれの環境ごとに最適化させる余地はまだたくさんあるはずです。その結果、仕事のパフォーマンスも生産性も高まるとしたら、職場も働き手もWin-Winとなります。

 そんな状態を実現させるために必要なことは、働き方に対する価値観の転換と、働き手の希望を尊重した職場環境および業務体制の再設計です。それこそが真の働き方改革なのだと思います。

 逆に、今を社会変革の契機にできず、今後も過去の価値観を長く引きずってしまうようであれば、新しい価値観に目覚めた働き手たちを筆頭に、強いストレスの塊を広く大きく膨張させ、堆積させていくことになります。そしてそのストレスの塊を負の遺産として、子どもたちの世代へと受け継がせてしまうことになるのだと思います。

 ■著者プロフィール・川上敬太郎(かわかみけいたろう)

 1973年三重県津市生まれ。愛知大学文学部卒業。テンプスタッフ株式会社(当時)、業界専門誌『月刊人材ビジネス』などを経て2010年株式会社ビースタイル入社 。2011年より現職 (2020年からビースタイル ホールディングス) 。複数社に渡って、事業現場から管理部門までを統括。しゅふJOB総研では、のべ3万人以上の“働く主婦層”の声を調査・分析。 『ヒトラボ』『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰。NHK『あさイチ』など、メディア出演・コメント多数。 厚生労働省委託事業検討会委員等も務める。 男女の双子を含む4児の父。

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