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増えるストレス、見えた希望-コロナショックを機に、働き手の“反乱”が始まる? (3/4ページ)

 図らずも、コロナショックによって通常勤務の在り方を強制的に変更することとなった2020年は、働き手自身が本当に望む働き方と向き合うことに目覚めた“自分だけのワークスタイル探し”元年だと言えます。

 しかしながら、働き手の意識が変化するスピードに対し、社会や企業が提供する職場環境や仕組みの変化スピードは今のところ追い付いていないように見受けられます。このままではむしろ、働き手と企業の意識に差が開く傾向にあると感じます。今の働き方に対するストレスが蓄積すればするほど、その反動として、自分にとってピッタリなワークスタイルを見つけたいという思いは強化されていくことになります。

 ◆働き手の“反乱”が始まる?

 総務省の労働力調査によると、20年5月の全就業者数は6656万人。当然のことながら、この6656万人はそれぞれ別の意思を持つ人間です。その人にとっての最適な働き方もまた、それぞれ異なります。

 働き方に対するこれまでの価値観は、職場が決めた画一的なルールに働き手側が合わせるべきという考え方でした。それは組織の統制を取る上で合理的である反面、ルールに合わない個々の働き手の希望については押し殺す必要がありました。

 通勤ラッシュの中、長い時間をかけて出社する背景には、職場で決められたルールに合わせるのが当然、という暗黙の了解が少なからずあるはずです。そこに疑いを持つことはかえってストレスを増幅させるだけであり、在宅勤務や時差出勤のような“夢の環境”を脳裏に浮かべないように努めることで、なんとか苦行のような毎日を受け入れることができます。

 しかし皮肉にも新型コロナウイルスのまん延が、これまでの均衡を打ち砕こうとしています。一時的な緊急避難措置とはいえ、在宅勤務や時差出勤のような“夢の環境”を体感した人が増えたことで、これまでの価値観へ疑いの目を向ける人も増えることになると推察されます。

 仮に、通勤に平日片道1時間を費やしていたとしたら、在宅勤務にすることで往復2時間分を家族とともに過ごす時間に充てることができます。その間、子どもと遊んだり、家事にいそしんだり、趣味に興じたりすることができます。年間240日出勤していた人が完全在宅勤務になれば、毎日通勤ラッシュとの格闘に充てられていた苦行のような2時間が、年480時間もそっくりそのまま豊かで幸せな時間へと切り替わるのです。これは、革命的な意識変化をもたらすのに十分な体験だと言えます。

 その意識変化は、働き方に対する価値観を根底から覆す要因となりえます。表面的にはこれまでの価値観に合わせながら、働き手は本当に望む働き方のビジョンを明確にイメージして、水面下で転職などの準備を進めることになります。

ITmedia ビジネスオンライン

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