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増えるストレス、見えた希望-コロナショックを機に、働き手の“反乱”が始まる? (2/4ページ)

 コロナショックの下、社会変革を進めていく機運が高まっている。この機会を逃せば、次の機会はもうないと考えるべきだ。一方、「喉元を過ぎれば熱さを忘れる」「形状記憶合金」と言われるように、すでに元に戻り始めているとの懸念も生じている

 一時的に緩和されていた朝夕の通勤ラッシュは、緊急事態宣言解除とともに元に近い状態にまで戻ってしまった感があります。一方、個人の意識は決して元に戻ったわけではありません。『選択する未来 2.0 中間報告』の中で紹介されている「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」(内閣府)には、仕事と生活に対する意識変化が顕著に現れています。

 通常通り勤務した人の中で、「生活を重視」するように意識変化した人の比率は34.4%と3分の1を超えます。さらにテレワーク経験者だと64.2%におよび、通常通り勤務していた人より30ポイント近くも高くなります。それに対し、「仕事を重視」するように意識変化した人の比率は5%程度と少なく、通常通り勤務した人とテレワーク経験者との間に差異はありません。

 整理すると、テレワーク経験の有無にかかわらず、コロナショックによって「生活を重視」するように意識変化した人が大きく増加し、テレワーク経験者に至っては6割を超えるほど顕著だったということです。

 このデータを踏まえると、世の中の見え方が変わってきます。

 ◆働き手と企業の乖離が広がる

 緊急事態宣言解除後、一見すると以前と変わらぬ通勤ラッシュ風景が広がっていますが、先ほどのデータから考えると、乗車している人たちの3分の1以上の意識は「生活を重視」する方向へと変化しています。すし詰め状態で密な環境の中、その人たちが通勤時に受けているストレスは、意識変化前よりもずっと強くなっている可能性があります。

 生活重視へと意識変化した人のストレス対象は、通勤ラッシュだけに限りません。固定された勤務時間や定時終了直前の残業要請、休日出勤、形式的で時間ばかりかかる会議、強制的な飲み会参加など、働く環境のあらゆるシーンが新たなストレスのタネになり得ます。そして、そのストレスは働く環境が変わらない限り、どんどん蓄積され続けます。

 働き手の意識変化は、今後も細胞が分裂するかのごとくどんどん多種多様に広がっていくと推測されます。ひとえに「生活重視」と言っても、生活の在り方も、重視の仕方も人ぞれぞれ異なるためです。

 例えば、家族そろって夕食をとることを重視するようになったAさんの場合、遠距離通勤は避け、定時で帰宅できる環境をより強く望むようになるはずです。小さなお子さんがいて家事も育児も一手に引き受けているBさんは、仮に在宅勤務ができたとしても、緊急事態宣言中のように保育園が休業中だと子どもを預けることができません。そのような時はむしろ、日中は家事と育児に専念し、比較的自由になりやすい夜の時間帯だけ働きたいと考えるかもしれません。年に一度休暇をとって国内外の旅行を楽しんでいたCさんの場合は、休暇先に長期滞在しながら仕事するワーケーションのような働き方が最適かもしれません。

ITmedia ビジネスオンライン

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