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【榊淳司 マンション業界の秘密】マンションは「天寿を全う」できるか? 分譲マンション建て替えが増えないワケ (1/2ページ)

 分譲マンションという住形態が日本に現れてからまだ62年である。

 最近の新築分譲マンションを見ていると、建て替えや再開発案件が多くなっている。鉄筋コンクリートでできた物件も、築40年を過ぎると傷みが目立ってくる。「そろそろ建て替え」といった声も出始める。

 しかし、日本の分譲マンションで建て替えが行われているのは、計画中も含めても300件に届かない。今後も、この数字が大きく増えることはなさそうだ。

 理由はただ1つ。区分所有者が建て替え費用を払えないから。

 幸運にも容積率に余裕があるマンションは、建て替えで床面積を増やせる。増えた床面積を販売することで建築費がまかなえる場合は建て替えが可能。現区分所有者の負担がゼロになれば、スムーズに進む。

 しかし、容積率に余裕がなく、区分所有者の負担が数百万円でも生じる場合は全員の合意が得られづらい。その場合、建て替えはほぼ不可能になる。

 建て替えできないマンションは、ひたすら老朽化する。鉄筋コンクリート造の物件に一体どれくらいの年数、人間が住み続けられるのかを日本人は現在進行形で実験している。

 私が知る限り、これまでの最長記録は84年だ。現在、築40年以上の分譲マンションは全国に72万9000戸あるという。この数は減ることがない。増え続けていく。

 単純計算では、20年後には築60年の老朽物件が約72万戸になるはずだ。築60年というと、相当に傷みも進んでいる。それでも、きちんとメンテナンスをしていれば、まだ人が住める状態ではあると想像する。

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