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【オトナの社会科見学】“新事実”や思い出深いものも 世田谷文学館「筒井康隆展」

 東京・世田谷文学館は12月9日まで「筒井康隆展」を開催中だ。

 会場全体を占める長さの彼の事績を示す年表は見応えがある。例えば1965年にアニメ「スーパージェッター」のシナリオを担当し作家専業の目途がついたとの事実は初めて知った。

 ジャズピアニストの山下洋輔らと77年に開催した「第一回冷し中華祭り」のポスターには、コント出演に東京ヴォードビルショーのメンバー、司会がTBSアナウンサーの林美雄と表記され、時代を代表する顔がそろう。70年代に筒井の「脱走と追跡のサンバ」「おれに関する噂」などに熱狂した筆者にとっても思い入れのあるポスターだ。

 また同年から78年に編集長を務めた雑誌「面白半分」の現物も展示。タモリの「ハナモゲラ語の思想」と題する原稿が届かぬため、そのページにわび文のみを載せて白紙のまま刊行した雑誌を見ると、当時、あっけにとられたのを思い出す。

 68年に自作が直木賞候補となった際の賞主催者からの手紙と、小説「大いなる助走」(79年)の生原稿が同じ展示ケース内に収められている。直木賞は結果的に落選したのだが、小説の方は文壇の権威主義を徹底的にからかうという内容。対照の妙がある。=敬称略(矢吹博志)

 ■「世田谷文学館」東京都世田谷区南烏山1の10の10、03・5374・9111)10~18時(展覧会入場は17時30分まで)。観覧料は一般800円、高校・大学生・65歳以上600円、小・中学生300円。毎週月曜日休館。

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