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【田村秀男 お金は知っている】円高リスクを招く黒田日銀 追い込まれると横文字に頼る「エリート」 (1/2ページ)

 小賢しい「エリート」は追い込まれると、往々にして横文字に頼る。日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁が7月末の金融政策決定会合後に強調した「フォワードガイダンス」もその例である。直訳すれば「金利の先行きの指針」で、従来の低金利維持のためだという。

 そもそも中央銀行による金融政策というものは、洋の東西を問わず当面の市場金利の誘導を目的としている。あえてカタカナで言うのは、真の狙いを隠すためではないか、と疑いたくなる。

 黒田総裁はガイダンスについて、「当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」と説明。「現状維持」と言えば済むはずだが、横文字を引っ張り込んだ以上、あまり知られたくない変数を紛れ込ませていてもおかしくない。「“悪魔”は細部に宿る」。総裁発言をチェックすると、現在はゼロ%前後に誘導している長期金利を0・2%まで上昇してもよい、というくだりが見える。

 償還期間10年の国債利回りを基準とする日本の長期金利は、米金利上昇の影響を受け、市場では先高観が漂っている。そんな中で、一般的な融資よりも国債の運用に頼るメガバンクは収益悪化に遭遇し、日銀に対し不平不満たらたらだ。そこで、日銀は「これからは金利上昇の余地あり」というシグナルを送った。が、建前はあくまでも「現状維持」である。

 日銀は白川方明(まさあき)前総裁時代末期の2013年1月、安倍晋三政権との間で脱デフレに向け、物価安定目標と称する2%のインフレ率実現の共同声明に署名した。安倍首相はその早期達成を確約する黒田氏を高く評価し、同年3月に日銀総裁に抜擢(ばってき)した。ところが、黒田日銀はそれに失敗し続け、2期目に入っても2%達成の意欲が見受けられない。

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