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【バフェットの次を行く投資術】「高収益で安定」の厨房器具メーカー『マルゼン』 3年ごとに新需要があるワケ

 バフェットの師匠であるベンジャミン・グレアムが活躍した時代には、鉄道や鉄鋼業が時代の最先端であり繁栄していた。

 グレアムはそれらの業種を中心に、堅実経営を行っている企業が、〈市場の間違い=大衆投資家の誤り〉によって大幅に安くなったところですかさず買い、その企業の本来の価値を反映した価格になったときに売るということを繰り返していた。

 そのため、現在のバフェット流から見れば、かなり頻繁に売買を繰り返し、投資対象もかなり多かった。また、バフェットのように「百発九十九中」というような高い精度ではなく、かなりの失敗があり、投資全体で儲かっていればよいというような考えであった。

 バフェットに比べれば見劣りがするが、それでも一般の基準から考えればかなりの資産を残して亡くなった。愛人を何人も囲うような、かなりの放蕩(ほうとう)者にもかかわらずだ。

 現在の日本市場で、グレアムが好みそうな企業は、日進工具(6157)やコーセル(6905)などたくさんあるが、ここではマルゼン(5982)を取り上げたい。

 個人で開業したラーメン屋や喫茶店などが3年以内につぶれる確率は90%以上だといわれる。いわゆる「脱サラ」はそれほど甘くないということだ。

 しかし、見方を変えれば厨房(ちゅうぼう)器具メーカーにとってこんなにおいしい市場はない。何しろ3年ごとにほぼ1回転して新しい需要が生まれるのだ。しかも、その新しい顧客は素人で価格にうるさくないし、業務用厨房器具一式はカウンターだけのラーメン屋でも一式数百万円くらいはする高価なものである。

 大変おいしいビジネスだが、業界や企業の成長性には乏しい。それでも経営が安定し、高い収益を維持できるという点が「グレアム好み」なのである。(人間経済科学研究所、国際投資アナリスト・大原浩)=敬称略