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【ぴいぷる】酒造りの神様・農口尚彦氏の生き様 「酒造りには、これで完成というものはない」 (1/3ページ)

 伝説の杜氏(とうじ)、酒造りの神様、能登杜氏のドン…。85歳の名工に冠せられた形容詞は数多い。大吟醸ブームを巻き起こし、「SAKE」が世界共通語になるその一翼を担った人物でもある。

 気温、水温、湿度。米や麹の状態などを長年記録し、そのデータを生かしながら自らの腕と勘で銘酒を仕込む。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(2012年)で見せた酒造りへの鬼気迫る姿勢は愛飲家の間で今も語りぐさだ。

 一時、姿を隠していたが昨年秋、2年ぶりに現場に復帰、酒造りに立ち向かっている。

 早々にできあがった山廃純米酒を味わったファンは「味わいがある一方で、飲み口すっきり。あとへ引かない。香りも芳醇。2年間のブランクがあったとはとても思えない腕のさえです」と称賛を惜しまない。

 新たな舞台は、石川県小松市観音下町(かながそまち)。空港から車で30分、高台にモダンで瀟洒(しょうしゃ)な酒蔵が見えてくる。社名はその名を冠した「農口尚彦研究所」。ブランド名も同じだ。

 「蔵つき酵母だとか、天然酵母だとか言いますが、そうしたものも全くいない、空気も水もとてもきれいなところ。自然いっぱいの所で酒造りをした経験は初めてなので、最初は不安でした」

 酒造りの神様にしても苦笑いするとは、意外な印象を受けた。

 奥能登の内浦町(現・石川県能登町)、杜氏一家の3代目として生まれた。16歳で酒造りの現場に身を投じ、28歳の若さで菊姫合資会社(同県白山市)の杜氏に迎えられる。

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