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【オトナの社会科見学】“あの頃”を体感できる木造家屋「豊島区立鈴木信太郎記念館」

 ステファヌ・マラルメやフランソワ・ヴィヨンの研究で知られた20世紀前半のフランス文学者、鈴木信太郎。東京・東池袋の旧宅が3月末、「豊島区立鈴木信太郎記念館」としてオープンした。その研究業績と収集資料および旧宅を紹介する。

 東京メトロ丸ノ内線新大塚駅から数分、旧宅の座敷棟が目に入ると、初めて来たのに不思議な既視感があった。東京で育った筆者が昭和30~40年代に暮らしたのと同じ、黒い瓦葺、茶色い木の板を重ね、表に縁側のある木造家屋だからだろう。

 8畳の和室の奥に床の間が控えるのも似た造り。子供時代の筆者が、昼はプラレールなどを広げて友人と遊び、夜は家族が川の字になり寝た「昭和の居間」そのものだ。部屋の外に縁側が広がり、踏み石を通じて庭に下りる造りもそっくり。仏文学と縁が薄くても、“あの頃”を体感したいなら誰にでもお勧め。

 奥の書斎棟については、次男の鈴木道彦氏が幼少時ですら「必ずノックをして父の許しがないと入れませんでした」と館内映像で語っている。信太郎が翻訳したシャルル・ボードレールの詩集『悪の華』の限定本などがそろう静謐な場だ。(矢吹博志)

 ■「豊島区立鈴木信太郎記念館」(東京都豊島区東池袋5の52の3、(電)03・5950・1737)9時~16時30分 入館料無料 休館は毎週月曜日(祝日の場合は翌日も)、第3日曜、祝日、年末年始、展示替え期間

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