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【榊淳司 マンション業界の秘密】業界悪弊の一種、都市伝説化する「モデルルーム見学」 (2/2ページ)

 ただ、モデルルームが販売活動にとって必要不可欠なアイテムとは思えない。現にほとんどの自社物件で設営せず、建物完成までに完売させる有力デベロッパーもある。モデルルームは販売にとって絶対必要-というのは都市伝説なのだ。

 マンションを買おうと検討する人にとってもモデルルームはほとんど意味がない場合が多い。その理由はいくつかある。

 まず、いくつもある間取りプランの中で、もっとも格好がいいタイプで作られるケースが多い。販売側にとって見せやすい、つまり購入を決断させやすい間取りだ。

 しかし、客側からすると、モデルルームの間取りが自分の買いたいタイプと同じだとはかぎらない。間取りが異なれば、ほぼ意味がない。設備や仕様を確認できるだけ。そういったものはサンプルを見せてもらえば十分とも言える。

 それでいて、モデルルーム内は専門のインテリアコーディネーターが腕によりをかけてデコレーションしてある。そんな現実離れした空間は、その物件の資産価値とは何の関係もない。見る人に妙な幻想を抱かせるだけだ。

 本来、モデルルームを作るのならインテリアは極力シンプルにすべきだろう。強烈なイメージを避けた方が、見る人は自分たちの現実の生活についてシミュレーションしやすいはずだ。

 結局、モデルルームとは検討客に勝手なイメージを抱かせて、購入意欲を高めさせるためのイリュージョンの仕掛けである。この業界の悪弊の一種と言っていい。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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