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【榊淳司 マンション業界の秘密】「負」動産は早めの相続対策を 大きい納税負担、売れないものはあげてしまうのも手 (1/2ページ)

 古い友人から電話があった。

 「おやじが死んじゃってさぁ…」

 九州の実家でその整理をしているのだが、残された家屋と田畑をどうしたらよいものかという相談だった。売ろうにも買い手が見つからないという。

 私はまず、相続する金融資産の有無を尋ねた。それなりにあるという。

 これがいちばん困るパターンだ。相続すべきものが家屋や土地などの不動産だけなら、思い切って相続放棄という手がある。一切、何も相続しないのだ。そうすると、売れない不動産を引き継ぐ義務がなくなる。

 ただ、預金や証券などの金融資産がある場合は、それをも放棄しなければならないので、ちょっと辛い。

 今、日本の不動産で売り出せば買い手が付くものは、都市圏の多少なりとも便利な場所にある物件にほぼ限られる。農地や山林はほとんど値がつかない。そういう不動産を相続してしまうと、毎年固定資産税を支払う義務を負う。

 今や利用価値のなくなった農地や山林にお金を出して借りてくれる人や企業はほとんどない。農業も林業も、それをビジネスとして成立させる環境はどんどん狭まっている。

 かつてこの国の人々は「一所懸命」という言葉に象徴されるように、土地をとても大切にした。その土壌が、何度かのバブルを生みだした。今も地域限定で不動産の価格が高騰している。

 しかし、すでに時代は変わっている。田畑はあっても耕す人がいない。山林はあっても、外国産の木材には勝てない。遠隔の郊外に広がった住宅地も、子供たちは受け継がない。東京なら、16号線の外にまで広がった住宅地は、ほとんどが廃虚の危機に立たされている。

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