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【田村秀男 お金は知っている】賃上げだけで脱デフレ可能なのか 「暮らし向き悪くなった」という家計が多い理由 (1/2ページ)

 安倍晋三首相は22日の衆参両院での施政方針演説で、賃上げによる脱デフレ達成に決意を表明した。経団連も3%賃上げに前向きで、連合も春闘に向け意気込んでいる。まさに政官の足並みがそろいつつあるのだが、賃上げは脱デフレの必要かつ十分条件といえるのか。

 拙論はかなり前から、日本の慢性デフレの特徴は物価の下落を上回る速度で賃金が下がることだとし、1、2年の短期間よりもより中長期の賃金、物価のトレンドを重視すべきだと説いてきた。企業の賃上げ判断は当座の業績次第なので、円高や輸出など外部環境に左右される。仮に、今春闘で一定程度の賃上げが実現したとしても、翌年以降も賃上げ基調が続くとは限らない。

 家計を預かる主婦も、そのことはよくわかっているので、給与が多少上がったからと言って、財布のヒモを緩めるとは限らないだろう。

 1997年度の消費税増税に始まり、20年間も続いてきた慢性デフレは身構える家計心理を生み出してきた。

 グラフは96年以降の賃金、物価の推移である。昨年9月時点での消費者物価は20年前の水準に戻ったが、賃金水準は約3・5%、下回っている。賃金はアベノミクスが2012年12月に始まったあと徐々に上向いているが、物価がはるかに大きく上昇し、賃金は実質ベースで下がっていることが読み取れる。前回の本欄で引き合いに出した日銀の生活アンケート調査で、暮らし向きが悪くなったという家計が多いのも無理はない。

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