記事詳細

トランプ政権にちらつく「第2のプラザ合意」 ドル安誘導の先に自滅の道 (2/2ページ)

 その点、通貨合意なら「自由貿易を守るため」との言い訳もできる。プラザ合意当時の「通貨マフィア」の遺伝子を受け継ぐ財務省国際派官僚には魅力のあるプランかもしれないが、ばかげている。歴史の示すところ、プラザ合意こそは産業国家日本の衰退を招いた元凶である。

 米国にとってはどうか。グラフを見よう。プラザ合意後、ドルは急落傾向に歯止めがかからなくなった。あわてた日米欧は87年2月、パリのルーブル宮殿でドル相場の固定を取り決めたが、半年も経たないうちに失敗し、同10月19日には史上最大規模のニューヨーク株価暴落に見舞われた。「ブラックマンデー」である。

 その尻拭いをさせられたのが日本である。日銀は超金融緩和政策を続けて株や不動産のバブルを膨らませた。バブル崩壊後は「空白の20年」であり、いまだに脱けきれない。

 全般的なドル安誘導は、米国はおろか世界の経済を壊しかねない。世界最大の債務国である米国は、外部からの巨額の資金流入が不可欠なのだ。ドル安は資金流出要因であり、金融市場不安につながる。対外債務規模がまだ低かった80年代後半でも、ブラックマンデーが起きた。

 それでも為替合意をしたければ、中国との間だけでやればよい。中国だけなら世界への影響は限られる。中国は人民元相場を当局が全面的に管理している。人民元の大幅な押し上げは切り下げと同様、極めて容易なはずだ。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

zakzakの最新情報をSNSで受け取ろう